牛一頭の思い

たかが牛タンでも牛一頭の思いが込められている

牛タン料理はその歴史のなかで、急激に人気を博してきました。
それまでは珍味として扱われることも多かった牛タン料理が、全国区で知られるようになったきっかけは、ヘルシー志向に合致した脂肪の少ない焼肉料理メニューだと、多くのメディアが取り上げたからです。
その後すっかり人気になった牛タンですが、狂牛病の問題が発生したときは大打撃を受けました。
特に発祥の地である仙台の牛タンについては、多くの専門店がアメリカ産の牛肉を使用していたために、輸入禁止がそのまま大打撃となってしまい、廃業の憂き目にあう業者も多くありました。
現在では高級食材となりつつある牛タンは、もともと牛一頭から2キログラム程度しかとれないものであり、しかも食味が良い部分は下の根元の一部です。
つまり大げさに言えば、たかが焼肉メニューのひとつであり、ことによっては珍味と認識されているとしても、牛一頭の思いが牛タンにも込められているということなのです。

そんな牛タンですから、自ずと食べ方や味付けにはこだわりを持つ人が多いようです。

塩とレモンが王道かと思いきや、タレや味噌で食べる人も増えているようですし、どのくらいの厚みで提供されるべきかというのは意見の分かれるところのようです。

牛タンについては、そのもととなる牛の品種にも独特のこだわりがります。通常日本人であれば、高級な牛肉の代表は和牛であり、実際値段も食味もブランド和牛がトップクラスというのが、世界的にみても常識かもしれません。
しかし牛タンについては、意見は分かれますがアバディーン・アンガスというスコットランド原産の牛が最良と言われます。和牛の牛タンも人気がないわけではないのですが、脂のさし込みのバランスが絶妙であり、それが牛タンの美味しさの本質と捉える老舗は多いようです。
食べるほうはもちろん、提供するほうにもこだわりがつまった牛タンは、やはり奥深い牛肉料理であるといえるでしょう。